2011年8月30日火曜日

プロボノのすすめ

先日ひょんなことから、自分がかつて留学した大学の日本オフィスのWebページをつくるというボランティアをしました。

私どもは確かに事業としてWeb制作をしております。ただし、私などは最新の技術トレンドはこうだとか偉そうなことは言っているものの、普段お客様向けにプロとして質の高いプロダクトを制作してくれているのは実際のところ我が優秀な社員達です。
そんな中、ボランティアということで、お金をもらわないことだし、ある程度品質には目をつぶってもらう前提で、ほぼ10年ぶりくらいに自分自身の手でサイトを作り一般に公開しました。それは自分のところの社員に見せるのも恥ずかしいくらい、極めてシンプルな造りのサイトで、基礎的な技術だけで作ったものではあります。それでも、そこで働くいつもお世話になっているスタッフの方々や同校の卒業生の皆さんには非常に喜んでいただくことが出来ました。
そこであらためて、Skill based volunteer(自分のスキルを活用したボランティア)の効用の高さを感じました。

最近プロボノという言葉をときどき耳にするようになりました。
Wikipediaによるとプロボノの定義は以下のとおりです。
“各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般。また、それに参加する専門家自身。”
日本人は皆さん謙遜されますが、実は自分自身が職業経験等を通じて身につけた知識や技術は決して過小評価する必要はないと思います。
こと、私たちが直面している東日本大震災からの復興においては、これからも様々な分野の人々の知恵と力が必要になることは間違いありません。私は日本人みんながそれぞれに自分が持てる知識と経験を持ち寄って、プロボノとして何らかの形で復興に参加することができれば、きっと奇跡と呼ばれるような早さでの復興も可能であると思います。
本来は国や行政主導によるシステマティクなスキルのマッチングが期待されますが、現状では難しいかと思います。今回の震災を機に全国的なスキルベースのボランティアマッチングサイトを提供する仕組みは作れないものかと考えます。

2011年8月12日金曜日

情報通信白書 「共生型ネット社会の実現に向けて」を読みませんか?

昨日、総務省から平成23年度版情報通信白書が発表・公開されました。

私達がいるIT業界、特にWebを取り巻く動きは恐ろしく早いです。特にベンチャー企業やスタートアップ企業から市場で注目されるサービス次々とリリースされ、それらを追いかけるのに精いっぱいで、これまでは役所関係の資料など手に取ることは皆無でした。

ところが今年の春から私たちを取り巻く状況が変わりました。3月11日の東日本大震災発生による情報通信に与えた被災状況や、それをきっかけに露呈した課題、人々の情報通信を活用した復興支援、その後の人々の情報通信技術との関わり方等々の動向が気になり、あらためて国が出版するこの白書を一読することにしました。全部で330ページありますが、概ね非常に読みやすくまとまってり、データも比較的見やすいグラフに加工されており、日本の情報通信について大きな流れを理解することができます。

特に、今回の特集テーマは「共生型ネット社会の実現に向けて」でした。私はこの「共生」という言葉が気に入りました。これまでの情報通信はどちらかと言うと高速化、大容量化や効率化を中心に工業的な観点から語られていたことが多かったように思います。ところがパソコン、携帯電話やブロードバンド回線も相当に普及し、インターネットが国民の生活に定着した現在、ようやく衣食足りて礼節を知るではありませんが、ようやく本質的に何のための情報通信かが見直されて真剣に語られるようになったのではと思います。

なお、白書の大まかな構成は以下のとおりです。

第一部:東日本大震災における情報通信の状況
第二部:特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第三部:情報通信の現況と政策動向

ポイントが3ページほどで書かれているものもありますので、今の日本の情報通信をとりまく現状を理解するために、お忙しい方も是非一度目を通されることをお勧めします。

残念であったのが、第三部第5章以降です。情報通信政策の動向、我が国のICT戦略の推進について書かれていますが、正直言って語られている内容はもう何年も思考停止した状態で、何ら具体的かつ明確なビジョンがありません。このままでは、この分野でも日本の競争力が失われてしまうという危機感を覚えます。

デジタルディバイドやリテラシーの問題等があり、まだまだ日本の情報通信には課題があるものの、これらを官民挙げて「共生」という観点から取り組むことで、もっともっと素敵な国になると私は確信しています。

2011年8月2日火曜日

ご先祖さん自慢

先日、毎年恒例の夏のお墓参りに行ったときに、ご先祖さんについてとても嬉しいことがありました。
うちの墓は敷地に石塔が3基立っています。先祖代々と書かれた墓石が左右に一つずあり、それに挟まれるような形でもう一つ、どうも墓っぽくない石碑があります。この石碑については子どものころから、何となく「墓っぽくないよなあ」とは感じてまして、ずっと以前に親に聞いた時も「知らん」の一言で済まされ、釈然としないままこの歳まで手を合わせていました。その謎がひょんなことからこの夏のお墓参りで解き明かされました。
と言いますのも今年から住職が代替わりされて、息子さんが墓前でお経を読んで下さることになりました。そのときに新住職がその石碑をご覧になられて「おやっ」と仰ったことで、謎解きのきっかけができました。
その石塔には「三界萬霊」と掘られていました。当日に住職から詳しくお聞きする時間がありませんでしたので、後日ネットで得た知識でしかありませんが、三界とは生まれて死にいくこの世の世界で、萬霊とはあらゆる精霊のことらしいです。つまり、うちの墓は自分のところのご先祖だけでなく、身寄りがなく無縁の霊となった方々も供養させもらっていることを知りました。住職にお聞きすると、個人の墓でこの三界萬霊碑があるのは珍しいとのことでした。
私はこれを知り、自前でこんな石塔を建てた自分のご先祖さんのおおらかさ、寛大さに大変嬉しくなりました。
我が家には歴史に名を馳せたというような立派なご先祖さんはいないけど、「他人さんもご供養してあげよう」と思う、そんな優しい心持ちのご先祖がいてくれたことが、私にとっては何よりの自慢です。