約1時間半にわたって、単なるベンチャー立ち上げのノウハウとかではなく、大企業での会社勤めから起業し、これまでやってきたことを振返って、本当に事業にとって大切なことについて話をしていただいた。
それにしても、成功の定義は人それぞれによって違うが、それが仮に、自分がこれと思った事業を始め、社会にその価値を認められ、生計をたてることができるようになり、少なからぬ従業員も雇用できるような経営者となることとすると、それらの人には共通したものがあるように思う。
まず、「強く思う」ということ。
上原さんは新入社員のころから、自分は社長になると決めていて、言葉にも出していたという。何となく、「いつか社長になれればいいよなあ」という人は決して社長にはなれないと思う。いや、なれないのではなく、むしろなろうとしていないのではと思う。強く思うことによって、「じゃあ、どうやったらなれるのか」という次の思考に繋がり、それを実現するための行動に進んで行くに違いない。
誰にでも分かるメッセージで伝える。
マイネット・ジャパンのホームページには以下の文章が掲載されている。
私たちは『どこでもドアを実現する』を企業理念としています。
「どこでもドア」の意味するところは、 「会いたいときに、会いたい人に会える社会」の姿です。
この言葉は、社長が自ら語らなくとも、初めてこの会社と出会った人にも、スッと浸透し、会社の向かおうとしている方向が理解できる。
一見無駄に見えることでも、その中に学ぶべきものを見つける。
話を聞いていて、新鮮だったのが「ベンチャーキャピタルから融資を受ける方が、大企業の経営会議で自分の作った資料を幹部から突っ込まれないようにすることよりも簡単。」これは、文字どおり受け取ると誤解してしまうと思う。大企業で幹部への説明資料をせっせと作ることは、現場の人間からすると、これほど無駄なことはないように感じられる。ところが、上原さんはこんな一見無駄に見えるようなことでさえ、「どうやれば相手に分かってもらえるか、安心して意思決定してもらえるか」を職業経験として学ばれていたんだと思う。
スマートにリスクをとる。
大企業からベンチャーの経営者というのは傍目から見ると大胆な転身に見える。事実そうであると思う。しかし、これは無鉄砲に飛び出したということではなく、ちゃんと事前に検証期間を置かれていた。勤め人の間に、自分の年収を一曜日あたりに換算し、それと休日に週一回やったとしてこれくらいは稼ぐべしという目標値をたてて、 自分自身のKPIとして測定し、確信を持った後、これなら独立して行けるという判断につなげたとのこと。
当たり前のことを忠実に実行する。
IT系企業の社長というと、斬新なアイデア一発勝負、最先端技術が何よりものを言うというようなイメージがあるが、決してそれだけではない。短期的にはそれでもいけるが、持続的な事業を営まれている経営者は、むしろごく当たり前のことを着実に実行することを非常に大事にされている。
必死で働く。
そして何よりも、「必死で働く」。上原さんからは「一年365日ですが、700日分くらい働きました」という言葉が出てきた。経営者に限らず、事を成す人は一人の例外無く必死で働いている。必死で働いたから必ずしも成功するとは言えないが、必死で働かずして成功した人など絶対にいない。
終了後、懇親会での他の参加との交流も含め、有益な学びと共感の場であった。
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