2011年8月12日金曜日

情報通信白書 「共生型ネット社会の実現に向けて」を読みませんか?

昨日、総務省から平成23年度版情報通信白書が発表・公開されました。

私達がいるIT業界、特にWebを取り巻く動きは恐ろしく早いです。特にベンチャー企業やスタートアップ企業から市場で注目されるサービス次々とリリースされ、それらを追いかけるのに精いっぱいで、これまでは役所関係の資料など手に取ることは皆無でした。

ところが今年の春から私たちを取り巻く状況が変わりました。3月11日の東日本大震災発生による情報通信に与えた被災状況や、それをきっかけに露呈した課題、人々の情報通信を活用した復興支援、その後の人々の情報通信技術との関わり方等々の動向が気になり、あらためて国が出版するこの白書を一読することにしました。全部で330ページありますが、概ね非常に読みやすくまとまってり、データも比較的見やすいグラフに加工されており、日本の情報通信について大きな流れを理解することができます。

特に、今回の特集テーマは「共生型ネット社会の実現に向けて」でした。私はこの「共生」という言葉が気に入りました。これまでの情報通信はどちらかと言うと高速化、大容量化や効率化を中心に工業的な観点から語られていたことが多かったように思います。ところがパソコン、携帯電話やブロードバンド回線も相当に普及し、インターネットが国民の生活に定着した現在、ようやく衣食足りて礼節を知るではありませんが、ようやく本質的に何のための情報通信かが見直されて真剣に語られるようになったのではと思います。

なお、白書の大まかな構成は以下のとおりです。

第一部:東日本大震災における情報通信の状況
第二部:特集 共生型ネット社会の実現に向けて
第三部:情報通信の現況と政策動向

ポイントが3ページほどで書かれているものもありますので、今の日本の情報通信をとりまく現状を理解するために、お忙しい方も是非一度目を通されることをお勧めします。

残念であったのが、第三部第5章以降です。情報通信政策の動向、我が国のICT戦略の推進について書かれていますが、正直言って語られている内容はもう何年も思考停止した状態で、何ら具体的かつ明確なビジョンがありません。このままでは、この分野でも日本の競争力が失われてしまうという危機感を覚えます。

デジタルディバイドやリテラシーの問題等があり、まだまだ日本の情報通信には課題があるものの、これらを官民挙げて「共生」という観点から取り組むことで、もっともっと素敵な国になると私は確信しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿