2011年12月20日火曜日

アサヒコム(asahi.com)終了を聞いて感じたこと。

情報の出所は良くわからないけれど、アサヒコム(www.asahi.com)が終了するとの見通しだそうだ。これからは有料の電子版に事業集約されていくらしい。私としては非常に感慨深い。

asahi.comは1995年創刊された。私が90年代半ばシリコンバレーにいた頃、海外にいながら日本の情報を一番早く知ることができる唯一の存在と言ってもおかしくなかった。

思えばインターネットが普及するまで、商社などの特別の情報網を持たない限り、海外にいると本当に自国で起こっていることについての情報の入手が困難だった。80年代の後半にボストン近郊に住んでいたとき、現地で入手できた日本に関する情報源は、ときおりテレビで目にする当時の日本バッシングのニュース以外は、せいぜいHarvard SquareにあるNews Standで売られていた一ヶ月前の新聞くらいしか無かった。

それが、90年代初頭からインターネットというインフラが急速に普及し始め、その上で比較的容易く情報発信が可能になったことで、日本から発信される情報もwebページ制作というロスタイムを除いて、ほぼリアルタイムで入手可能となった。
当時はインターネットとビジネスはまだ直結しておらず、マネタイズという言葉も無かった。ただ漠然とした可能性だけをみんな感じていた。そんな状況で、日本のメディアとしてasahi.comはいち早く情報提供を開始していた。もちろん、無料で。

おそらく当時からasahi.comはメディアのこれからのあり方を実験されていたのだと思う。現在にいたるまで、既存メディアのインターネット上での取組みは門外漢の私から見ても本当に紆余曲折があった。それが、asahi.com終了ということで同社にとってはその実験の役割を果たしたということなのだと私は理解する。

今日、インタネット上に無料の情報がまさに玉石混在で溢れかえり、人々がGoogle等の検索エンジンを使いこなせるようになって、初めて本当に価値ある情報は無料で入手することの困難さを理解し始めているように思う。

私はこれからも有能な記者の方々によって、有益な情報を提供しつづけてもらうためにも、有償の記事はあってしかるべきだと思う。



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