2011年9月1日木曜日

SONY ハワード・ストリンガーCEOの残念な言葉

本日、ソニーがタブレット端末を発表しました。平たく言うとiPadのソニー版が世に出ました。この機器そのものについては多くのネットメディアに取り上げられていますので、詳細はそちらにおまかせすることとします。
私が今回の発表で何よりも一番気になったのは、ハワード・ストリンガーCEOが発した次の言葉でした。
「誰が最初に作ったかでなく、誰がより良いものにしたかが重要だ」
私は正直、これには自分の耳を疑いました。確かにビジネス的な成功を考えた場合は事実であると思います。しかし、まさかソニーのトップからこの言葉が出るとは思いませんでした。

私はソニーの創業者の井深 大さんが東京通信工業株式会社設立趣意書に書かれた最初の言葉が大好きでした。
真面目ナル技術者ノ技能ヲ、最高度ニ発揮セシムベキ自由豁達ニシテ愉快ナル理想工場ノ建設
そして、時の週刊誌から「モルモット」と揶揄されたときの反応も好きでした。以下は少し長いですがソニーホームページ、Sony Historyからの引用です。
“しかし後年、井深は『ソニー・モルモット論』に対し、「私どもの電子工業では常に新しいことを、どのように製品に結び付けていくかということが、一つの大きな仕事であり、常に変化していくものを追いかけていくというのは、当たり前である。決まった仕事を、決まったようにやるということは、時代遅れと考えなくてはならない。ゼロから出発して、産業と成りうるものが、いくらでも転がっているのだ。これはつまり商品化に対するモルモット精神を上手に生かしていけば、いくらでも新しい仕事ができてくるということだ。トランジスタについても、アメリカをはじめとしてヨーロッパ各国が、消費者用のラジオなどに見向きもしなかった時に、ソニーを先頭に、たくさんの日本の製造業者がこのラジオの製造に乗り出した。これが今日、日本のメーカーのラジオが世界の市場で圧倒的な強さを示すようになった一番大きな原因である。これが即ち、消費者に対して種々の商品をこしらえるモルモット精神の勝利である」とし、さらに「トランジスタの使い道は、まだまだ私たちの生活の周りにたくさん残っているのではないか。それを一つひとつ開拓して、商品にしていくのがモルモット精神だとすると、モルモット精神もまた良きかなと言わざるを得ないのではないか」と、語っている。”
モルモット精神。私はこれが革新性にあふれたWalkmanを生み出した「カッコいいSONY」の原点だったと確信します。どうしても私は今回のCEOの言葉からは、かつてのソニーが目指したゼロから世に無いものを作り出すというような迫力、ワクワク感が感じられません。

もう、SONYはあの頃のSONYではなくなってしまったのでしょうか。私は勝手に、また一つの時代が終ったような、少し寂しい気持ちになりました。

2 件のコメント:

  1. 全く同感です。
    若い時に見た、ウォークマンや他の製品、
    そしてTVCMと、ソニーの
    ものは、とにかくカッコ良かった。
    今はすべてアップルになっているのが
    残念です。
    マネシタではソニーではありませんね。

    返信削除
  2. もう20年以上前になりますが、私が高校生の時にNYのタイムズスクウェアで見たSONYの看板が日本人として誇らしかったです。みんなが憧れるカッコいいものを作ることができるカッコいい会社、そんなイメージでした。またカッコ良くなって欲しいですね。

    返信削除